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経営コーチへの道

有限責任中間法人日本経営コーチ協会 理事
税理士 西川弥生

「経営コーチ・リレーエッセイ」第4回目を担当させていただきます西川弥生です。青森県八戸市で仕事をしている私が、日々思っていることを、少々書いてみたいと思います。
新卒の職員採用求人を出すと、高校生が入社試験を受ける前に会社訪問にやってきます。「会計事務所の仕事は、どういうものだと思いますか?」と訊ねると、大抵は「税金の計算をする仕事」という答えが返ってきます。確かにそれは会計事務所の柱となる仕事です。それを間違うようでは話になりません。生徒を送り出す学校側も、机上の業務をきちんとできる真面目なおとなしい子ということを、採用する側にプラスのイメージを与えると想定して、評価欄に書いてきます。
しかし、私達が会計事務所の職員として個人の資質に求めるものは、近年変わってきているのではないでしょうか。事務処理能力は高くて当たり前、+αとしてコミュニケーション能力が求められていませんか。
就職希望の高校生に「自分は人前に出るのが苦手で、営業職より事務職のほうが向いていると思うので、会計事務所で働きたい」と言われると、ちょっと困ります。俗に言う内勤という仕事だけをしたいという希望に添うことはなかなか難しく、高校生には、机の上で電卓をたたいて試算表を作ることが、最終的なあなたの仕事ではなく、それをお客様に伝え、さらにそこから経営のお手伝いをすることまでが仕事ですと説明します。
事務職より営業職のほうが向いているという人のほうが会計事務所で生き生きと働けるかもしれません。現に、会計事務所に勤務してから、人と会って話すことが楽しいという人もいます。

事務所によって仕事の進め方はそれぞれです。税理士がお客様のところを訪問し、預かった資料を内部で職員が処理するところもあります。その場合は、税理士の個性がそのままお客様に伝わり、お客様との間に、大きな隔たりや誤解が生じるようなことはないでしょう。
また、弊社のように、職員が担当しているお客様のところを訪問する事務所もあります。職員がお客様のところを訪問する場合は、担当職員=会計事務所という評価を受けます。お客様に嫌われない、社長という目上の人ときちんと話ができる、コミュニケーションを上手くとることができるということが大事なことになります。お客様と担当者の反りが合わないと、会計事務所(税理士)を変えるということにまで発展することがあります。

先日、顧問先を訪問した際に、ちょっとショックなことがありました。その顧問先を担当していたA君の話題になったときのことです。A君は少し前に退職しています。A君は仕事の運びがマイペースで、決算を仕上げるのも月末ぎりぎりだったので、事務所の皆がいつも気をもんでいました。そのような仕事の仕方でクレームをいただき、所長がお客様に謝りに行くこともありました。この顧問先には謝りに来なければならないような大きなミスをしていなかったのですが、仕事が遅くてはお客様もさぞイライラしたことだったろうと思っておりました。しかし、私の心配とは裏腹に、そのお客様とA君の間には厚い信頼関係ができていたのです。
私は改めてA君の良いところを振り返ってみました。A君は、他人の話を聞くのが上手でした。相手の言うことに「うんうん」と相槌を打ち、大きな反対意見は言いません。お客様は、自分がいいと思っている方向へ話が進んでいくことが心地よかっただろうと思います。
A君が毎月訪問するうちに、このお客様との間に信頼関係が醸成されていったのでしょう。お客様は、A君の態度で、いろいろなことを判断するようになっていったようです。A君が「あの人はいい人ですよ」という人のことは、会ったことがないけれどいい人としてインプットされ、会ったときの判断材料のひとつとなりました。また、同席者にA君がフレンドリーな態度で接すれば、お客様も同様の態度で接し、A君が同席者の話に耳を貸さない態度でいれば、お客様も、Aさんがぞんざいに扱っている人なのだから、深いつきあいをする必要はないだろうと思っていたそうです。
このお客様にとっては、仕事が遅いということは重きを置くポイントではなかったようで(期日までには仕上がっていたので)、A君にはよいアドバイスをもらっていたと大変満足していらっしゃいました。新担当者も話し易い人でいいと褒めてもらい、改めて、コミュニケーションを上手くとるということが、会計事務所とお客様の間で大切なことだと認識したのでした。誤解を恐れずに書くとしたら、机上の仕事は満点でなくても、税務の知識も満点でなくても、お客様の求めることに応えることができれば、すなわちコミュニケ?ションを上手くとっていければ、お客様は及第点をくれるという事です。会計のスキルを磨くことはもちろんですが,併せて人間力のアップを図ることが、会計事務所に勤務する者にとって欠かせないことでしょう。

コミュニケーションをとるということは、すなわち話をするということです。話をするということは、相手の話を聞くということです。最初は無理に気の利いたことを言おうとしなくても、話を聞いて「それはよかったですね」とか「大変でしたね」と相手に同調することから始めればいいと思います。自分のことを否定されていると思ったら、話はしたくないし、信頼関係は築けません。相手のことを尊重して、まずは話を聞くことからです。
その意見は間違っていると思っても、信頼してもらえるまでは、口に出さずにじっと我慢。信頼関係がないのですから、いくら正論を言ったところで、聞いてはもらえません。信頼していない相手から「あなたのここがダメ」と注意されても、聞きたくありません。反対に、私のことなんか分かっていないくせにと、態度を硬化させてしまうでしょう。私が会計事務所に勤務して間もなく受けた研修では、1つお客様に注意をしたいことがあったら、10個褒めてからと教えられました。10箇所褒めて褒めて、この人の言うことを聞いてもいいかなと思わせてからでないと、注意も聞いてもらえないということだったのでしょう。
この人の言うことを聞いてもいいと思ってもらったら、次にコーチングです。相手に気付きを与えましょう。信頼している相手であっても、ズバリ「ここがダメ」と言われたら、おもしろくないものです。相手が自ら気付くように、話の流れを持っていけたら、優秀な「経営コ?チ」です。
少々やっかいなお客様がいました。担当者との折り合いも悪く、小細工をしてでも税金をなるべく安くしたいというお客様でした。担当者の配置に困り、ベテラン職員を配属しました。最初は担当になった職員も「困ったお客様だ」と言っていたのですが、何年かかかって、いろいろな出来事を経て、今ではそのお客様が「いろいろ小細工するよりも,税金を払うのが一番安い。税金を払えば,半分は手元にお金が残る。会計事務所の言うことを聞いていれば上手くいく。」とまでおっしゃってくださるようになりました。コミュニケーションが上手くとれて、信頼関係を築くことができれば、ここまでお客様の考えも変わるといういい例でしょう。
しかし、人間力の向上、コミュニケーションスキルの上達は、一朝一夕に出来るものではありません。個人の資質も関係します。コ?チング技術を習得し、実践し、満足のいく結果を出せるまでには時間も要するでしょう。
お客様に「気付き」を与える前に、まず私達が気付かなければなりません。自分で何かを変えようと思い、その改善を実行できなければ、お客様に気付きを与えることは難しいでしょう。先日、トイレ掃除をする社長の話を読みました。10年前に社長が一人でトイレ掃除を始めたそうです。陰で「社長の仕事は他にあるだろう」と言われながらも続けてくると、今ではトイレ掃除を社員がするようになり、社内の美化に繋がっているそうです。気付いたら、まずは自分から実践です。誰かに「やれ」と言われてからやるのでは、おもしろくないし、格好悪いことです。

私の父は、私が生まれた年に税理士として開業しました。ですから、私は、漠然とではあっても、ずっと税理士という職業を見てきました。小さい頃から感じていたことは「税理士ってなんでも屋だな」ということです。ある朝起きると、茶の間に知らないおばさんが寝ていて、それは、夫婦喧嘩をして夜中に家を飛び出してきた顧問先の社長の奥さんだったり、またある日は、見知らぬご夫妻がうちの茶の間に座り、それは顧問先の社長の息子夫婦の離婚相談だったり、税理士ってこんなことの面倒をみることも仕事かと不思議に思っていました。
今でも父は「よろず相談所」で、私も、会計事務所はそのような場所であることが、お客様のためになると思っています。また、そのような仕事に、会計事務所に勤めたからこその、他人から信頼されるというやりがいが見出せるのではないでしょうか。私達は、よりよい仕事をするために、十分な「聞く力」「伝える力」を身に付け、「経営コーチ」としてがんばっていこうと思います。そして、ひとりでも多くの「経営コーチ」がこの業界で活躍することを願っております。

実務経営ニュースより

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